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研修会に参加しました

 先日、五色台の休暇村で行われた司法書士同士の勉強会に参加してきました。上記のような素敵な景色を眺めながら講義を受け、講義が終わった後は、おいしい食事を頂きながら、他の参加者と研修内容を振り返ったり、日常の業務についてなど話がはずむ楽しい集まり…なのですが、今回私はただ研修を受けるだけでなく、一コマ講師を担当することになり、とても緊張しました。でもそのおかげで、終わった後のご飯は緊張から解き放たれてより一層おいしく感じることができました。

 今回私が担当したのは『休眠担保』についてです。聞いたことがないという方も多いかとは思いますが、何気ない相続登記の際などにも、出くわすことのある意外と身近で、厄介な存在です。

 簡単に言うと、役目が終わった抵当権などについて抹消登記を忘れたままにしてしまっていて、抵当権が登記上残ってしまっている状態のことです。半世紀以上前のものなども多く、そうなると当事者や資料が残っていなかったりして結構面倒な手続きが必要になってしまいます。

 休眠担保については今年4月の不動産登記法改正でも一部対処がされていて、講師役を担当したことで改正の内容についても自分の中で再度整理することができました。

 皆さんも、不動産の登記簿を見ていて古い抵当権が残っているのを見つけたらお近くの司法書士にご相談ください。

2023年09月10日

Memento Mori

2023年も2週間が過ぎました。早いものですね。
もうお正月気分も抜け通常運転に戻っておられる頃でしょうか?

 私の方はと言いますと,私が後見人を務めている方が年始に亡くなり,葬儀手続きが今年最初の仕事となりました。
 身近な親族の方がいらっしゃらず,また,ご本人が生前葬儀会社と契約されていたこともあり,後見人の職務権限に含まれるのかと少し疑問は抱きつつも,喪主として葬儀手続きを執り行いました。
 昨年の11月末に後見人に就任したばかりで,殆どお話をする機会もなく,ほぼ初対面の私が喪主として見送らせていただく事に申し訳なさを感じつつも,心から冥福をお祈りさせていただきました。
 ただ,やはりもっと長い時間をご一緒して,これまでの半生を,人となりを知ることができればよかったのになと感じもしました。

 私が後見人になっている方が亡くなるのは初めての事で,色々な手続きでバタバタしましたが,改めて,他人の人生に係わらせていただく後見業務の奥深さを感じました。
 そして,このブログのタイトルにもしましたが『Memento Mori』「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という警句が頭に浮かんできました。年の初めに,命の儚い事を再認識し,限りある時間を有意義に使おうとの想いを新たにした次第です。

 

2023年01月15日

あなたの街の司書(司法書士)のコーナー~その①~

私の職業は司法書士,略すと『司書』・・・全く別の職業になってしまいますね。

そこで(どこで?),私司書の資格はありませんが,読書大好き司として,お薦めの本を発信していきたいと思います

 

第一回目の今回ご紹介するのは『自省録』(マルクス・アウレリウス著:岩波文庫刊)

 こちらの一冊。著者は何と古代ローマ帝国の皇帝!ローマの長い歴史の中でも,優れた皇帝が続き最も繁栄したとされる五賢帝の中の一人です。
2000年も前に書かれた本ですが,読み進めるために歴史の知識は特に必要ありません。等身大の一人の人間としての皇帝が自らに向き合い,悩み,また自らに言い聞かせる数々の名言が収められていて,普遍的な内容となっているからです。

 当時のローマ帝国の版図は北はイギリス,南はエジプトまで広大な領土を有していました。そんな絶頂期にある帝国の皇帝が記した書です。さぞかし輝かしい業績を誇る内容になっているのかと思いきや・・・冒頭から自身の家族や教師,身の回りの教訓を与えてくれた人々への感謝が並べられています。この『自省録』はもともと出版するつもりもなく書かれていたもの。感謝の言葉も見せかけではなく,ひたすら謙虚に,自信を客観視しようと努めていたことが窺えます。

 五賢帝の特徴として,それぞれ世襲ではなく,有望な次期皇帝候補を遺言等の形で指名する形で権力が移譲され,この事が優秀な皇帝の続いた理由ともされています。  
著者マルクスも皇帝の家に産まれたわけではありませんが,幼少のころから哲学を学び優れた資質をみせ,時の皇帝ハドリアヌスに「最も真実な者」と呼ばれるほど見込まれ,次期皇帝アントニウス・ピウスの養子に指定する形で将来の皇帝となる運命が定められました。

 きっと,マルクス自身としては一人の哲学者として過ごせた方が幸せだったのではないのかと思うほど,彼の治世中は帝国の境界線の至る所で異民族との衝突が起こり,転戦に次ぐ転戦で帝国各地に赴く日々が続きました。
そんな皇帝としての激務を,ローマ市民としての務めとして専念し,自らを奮い立たせていた様がこの『自省録』には克明に記されています。

『すべての出来事や自分に運命づけられた事柄を心の底から歓迎するような人間となし,特に必要な場合や公共のための場合を除いては,他人が何をいい,何をおこない,何を考えているかについてめったに考えもしないようにする。このような人間は自分に関係した事のみを活動の対象となし,宇宙全体を織りなすものの中から自分に振り当てられているものについてたえず想いをひそめている。そして自分の務めはこれをよく果たすように努め,自分に与えられている運命は善であることを確信している』
自らが理想とする善き人間であれるようにと,自らに言い聞かせている姿が目に浮かびます。

 皇帝といえども何事も思い通りに行きはしません。
『「なんて私は運が悪いんだろう,こんな目にあうとは!」否,その反対だ,むしろ「なんて私は運がいいのだろう。なぜならばこんなことに出会っても,私はなお悲しみもせず,現在に押しつぶされもせず,未来を恐れもしていない」』
運命から逃れられない人間の現実を直視しつつも,確固たる意志を持ち続けることの強さを信じている事が伝わってきます。

 そして,皇帝の務めを果たしながら,無力感を感じることもあったのでしょう
『アレクサンドロスも彼もおかかえの馬丁もひとたび死ぬと同じ身の上になってしまった』
 といったように人生の儚さに幾度もふれています。しかし,だからと言って無気力になってしまうのではなく,無用な人からの称賛を重んじることを避けつつ,己の内からの善に従って行動することで今この瞬間を良く生きるという哲学が繰り返し,綴られています。

 最後に,この寒い冬の季節特に身に染みる言葉を取り上げます。

『明け方に起きにくいときには,つぎの思いを念頭に用意しておくがよい。「人間のつとめを果たすために私は起きるのだ」自分がそのために生まれ,そのためにこの世に来た役目をしに行くのを,まだぶつぶついっているのか。それとも自分という人間は夜具の中にもぐりこんで身を温めているために創られたのか』

 皇帝と言えど,私たちと変わらない事で悩んだり格闘していたんだなと微笑ましくなるとともに,自分も朝目覚める時に自分に言い聞かせたいなと思いました。

 

2023年01月09日

相続登記義務化って何?

 相続は世代をつなぐ大切な手続きです。

 身内の方が亡くなって不動産を相続した際に必要となる相続登記。こちらが民法の一部改正に伴い令和6年4月1日から義務化されます。
 義務化されると何が変わるのか。今なぜ義務化されるのか。具体的に何をすれば良いのかなど,分かりやすく解説していきたいと思います。

 

義務化で何が変わるの?

  ・不動産を相続した事を知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務付けられ,

  これに違反すると10万円以下の過料が課せられる可能性があります。

   現状不動産の登記(表題部登記を除く)は自身の権利保護のための手続きであり,    手続きを行うかどうかは任意となっていますが,この原則が一部変更されます。
   なお,この民法改正は遡って適用されるため,義務化以前に発生していた相続につい  ても,義務化から3年以内に登記手続きを行うことが必要となります。

   また,近年の民法改正で法定相続分を超える持分に関しては相続登記が対抗要件に変  更されていますので,早めの相続登記は,ご自身の権利を守るためにも,一層重要なも  のになっていると言えます。

 


なぜ義務化されるの?

 ・所有者が不明な土地(所有者不明土地)の解消・予防のためです。
  
  所有者不明土地は全国で問題となっており,合計すると九州の面積に匹敵するほどの土 地が所有者不明となっていると言われています。
  この大きな要因の一つとして,相続登記が長年なされないまま放置された結果,相続人 が分からない・調べるのに多大な労力を要するケースが多発している事が挙げられます。
  そこで,相続登記を義務化し,早期の相続登記を促すことで,相続人が分からなくなっ てしまう事態を防ごうとしているわけです。

 


具体的に何をすればいいの?

 【相続人の方がすべきこと】
  ・相続開始(被相続人の死亡又は全順位相続人全員が相続放棄したこと)を知り
  ・相続財産に不動産が含まれていることを知った
       日から3年以内に相続登記する必要があります。

  前述したように,今回の改正はその施行日以前に開始した相続に関しても遡って適用さ れます。そのため,改正時点で上記の義務化要件に当てはまる場合には改正から3年後の  令和9年4月1日までに相続登記をする必要があります。

・相続登記に必要な手続きとは?          
  ①戸籍の収集   
  ②財産の調査   
  ③遺産分割協議 
   等が必要になります。詳しくは相続登記でお悩みのお客様のページをご参照ください

・3年以内に遺産分割協議がまとまらない場合は?
  一旦相続人全員での法定相続分通りの相続登記をするか,今後新設される「相続人申告 登記」を行い,遺産分割協議が纏まってから3年以内に協議内容に沿った相続登記をしてい ただく事となります。
  この場合どうしても手続きが二度手間になってしまいます。出来る限り早期に相続人間 で話し合うことが望ましいですね。

【被相続人の方がしておくべきこと】
 ・遺言を書いておくことがオススメです

  相続財産をどのように分けたらいいか話がまとまらない,そもそもどんな相続財産があ るのか分からない。このような,相続手続きを面倒にしてしまう要因も,遺言を書き遺し ておくことで回避できます。
  義務化で重要度を増す相続登記で煩わされないよう,次の世代への思いやりを示してい ければ良いですね。

 相続手続きについて分からないこと,不安な事は司法書士にお気軽にご相談ください。

2022年11月11日

出張司法書士

 先日依頼を受けて直島へ遠征してきました。直島に行くのは約10年振り。仕事といいつつもなんだか遠足気分だったりします。

朝一番のフェリーに乗って意気揚々と出発です。

高松の街並みともしばしのお別れ。

 

 


フェリーに揺られること約50分。

目的地の直島が,お馴染みの南瓜がお出迎えです。

海も穏やかで良いお天気!

あっ,フェリーが私を島に残して帰っていきます!

気を取り直して自転車に跨り,一路東へ!

綺麗な砂浜が出迎えてくれました。

 さて,サイクリング気分もここまでです。お仕事モードに切り替え,切り替え。

 今から不動産売買の立ち合いです。

 立ち合いというのは,司法書士の大事な役割の一つで,不動産売買の現場(お金をやり取りする場面)に立ち合って,

  • 当事者の本人確認

  • 売買意思の確認

  • 売買物件の確認

  • 必要書類の確認

などを行い,不動産売買がスムーズになされるための膳立。そして,

  • 売買代金の支払の確認

をすることで,売買が成立して所有権が移転したことを確認します。

売買成立!(※画像はイメージです)

 

 さあ,立ち合いも終わりました。後は元来た道を帰るだけ・・・

「南側を走るルートは険しいので止めておいた方が良いですよ」

 港から自転車で来ている私に対してクライアントの方は,親切にそうアドバイスしてくださいました。しかし,その言葉を聞いた時,私の脳内では,

険しい道=達成感+絶景=楽しい!

 という計算式が成り立ち・・・

「朝通った道がベストだったんですね,ありがとうございます」

 と素直にアドバイスを聞き入れる素振りを見せながらも,クライアントの方の目の届かない所まで来ると・・・一路南へ!

結論:地元の方のアドバイスには従うべし!

 南ルートへ漕ぎ出してすぐに反り返るように険しい坂道が出迎えます。写真を撮ろうという気持ちも起こらないほど絶望的な傾斜です。

 しかし,親切な忠告を無視してまで選んだ道,今さら引き返すわけにはいきません。

 一番軽いギアに入れ,ふらつきながらも,一完歩一完歩坂を上って行くのみです。

・・・歩いた方が速いかも?などとは考えてはいけません。押し歩くこと,それは負けを意味します。何に対してかは分かりませんが。

ついに坂を制したのです。ふくらはぎに感じる痛みが闘いの証です。

我が物顔で海を眺めます。大小様々な島々,その間を縫うように進む船影。見飽きることの無い景色

・・・しかし,段々と空には雲が厚く,天気予報では昼過ぎから雨・・・名残惜しいですが,眺望を後にして再び漕ぎ出します。登ったのと同じだけ降って行くのです。道中『地中美術館』等の観光スポットが現れますが,近づく雨雲に急き立てられるように脇目もふらず一心に港へ。

ソーダで乾杯しながら島を後にします。

 小さな島や山間部など法律の専門家が稀な地域であっても,そこに住んでいる方が居る限り法的サービスは当然必要になります。

 直島島内には現在司法書士がおらず,今回私が出張させていただきましたが,これからもフットワーク軽く,色々な所へ参上できればなと思います。

 お悩みの方は是非お気軽にお問い合わせください!

 

 

2022年07月21日
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